著者:田中貴世(シニア産業カウンセラー)
これまで、人事労務担当者の方の正確な情報収集や、休職者との信頼関係の構築をポイントに休職前、休職中の対応についてお伝えしてきました。 今回のテーマは「復職の判断について」です。
職場の業務内容や受け入れ態勢を検討した上で、本人のどこを見て回復度を判断するかは、非常に難しいといわれています。特に仕事の専門性が高い職種になると、回復レベルが高くなければ仕事への適応が困難になる可能性は高まります。 では、どこで判断すればよいのでしょうか。ポイントは2つです。
1.休職者のどこを見て、誰が職場復帰を判断するのか。
2.職場復帰後、復職者のなにを、誰がフォローするのか。
本人の意見と周りの意見、どちらもバランスよく見れるのは
企業の復職支援の現状
2008年産業人メンタルヘルス白書の中に、「復職決定に誰の意見が最も重要視されるか」を調査した項目があります。
従業員1000人以上の事業規模では、
産業医 67.3%、主治医 18.2%、上司 0.6%、本人 4.2%、なのに対して、
従業員1000人未満では、
産業医 34.7%、主治医 31.6%、上司 4.1%、本人 15.3%、との統計が示されており、
事業規模が小さいほど、本人の訴えが通ってしまっていることが分かります。
これでは、客観的な判断がなされず、準備の整っていない誤ったタイミングでの復職となりかねません。やはり、すべての譲歩を客観的な視点で判断できるのは、人事労務担当者です。
一方的な判断基準のポイントというものではなく、相互にとってのスムーズな復職に必要な情報を、以下表にまとめました。
復職判断のポイント

その他、復帰する職場の業務内容で、特別に求められるスキルがある場合、その内容を休職者本人にも事前に伝え、70〜80%こなせるようになっているかを話し合ったうえで判断基準にすると良いでしょう。
情報共有で最適な判断につなげる
判断ポイントに基づいて集められた情報を、復職判定委員会のメンバー全員で共有する必要があります。このとき、個人情報保護に配慮して休職者と情報の開示範囲と開示先を確認することも必要でしょう。開示先として考えられるのは、復職判定委員会のメンバー(人事・労務担当者、産業医、健康管理担当者)と復職先職場の上司です。社外で情報共有の必要が感じられるのは、休職者の主治医、社外のリワークプログラムなど活用していた場合は、そこでの情報を提供してもらうことが順調な復職に役立つこともあります。担当のコーディネーターやカウンセラーに情報提供を依頼してみましょう。
そして、家族からの情報も復職後の協力が期待できる場合は打診してみることも良いと思います。
復職判定は、休職者本人の話を聞いたうえで、医療的見地からの主治医、産業医の意見、職場での受け入れ環境を含めた上司からの意見、健康管理スタッフのサポート体制を加味して判定委員会で話し合い、人事労務担当者、人事管理権のある会社側責任者が最終判断することになると思います。
次回は復職のフォローについて、タイプ別フォローの仕方と、共通して支援できることについてご紹介いたします。
▼ この記事の著者

田中 貴世
シニア産業カウンセラー、日本産業カウンセラー協会認定キャリア・コンサルタント、日本オンラインカウンセリング協会認定オンラインカウンセラー、 家族カウンセラー協会認定家族相談士
子育て相談、保育士人材育成の仕事在職中にカウンセリングを学び資格を取得。転職支援センターのキャリアコンサルタントを経て、現在ピースマインド・イープでカウンセラーを務める。職場のメンタルヘルス、キャリア、家族関係、夫婦問題とカウンセリング分野は幅広い。「カウンセラーは相談者の伴走者」と考え、「出会い」「気付き」の中に生まれるエネルギーに心動かされる日々だという。


