著者:田中貴世(シニア産業カウンセラー)
どのような業務にも、遂行することによって生体機能に変化を起こす負荷要因があります。その負荷要因によって引き起こされた反応が、ストレス反応と言われているものです。
今回は、どういった負荷要因とストレス反応があるのか、また、それらを緩和する要素についてご紹介したいと思います。
過重労働による…
◆負荷要因●職場のストレス要因:
長時間労働・就労態様(不規則な勤務・長時間拘束・精神的緊張を伴う勤務など) ●職場外のストレス要因:
家事労働・家族、友人関係・経済問題・社会環境問題・異常な出来事 など ●個人的要因:
不摂生(飲酒・喫煙・肥満など)・基礎疾患・自主健康努力不足・治癒、受療不足 など ◆ストレス反応
生理的反応 :血圧上昇、心拍数の増加、不眠、疲労 など
行動面の反応:生活習慣の変化、疾病による休業、集中力低下による事故 など *これらの総和の負荷度が高くなると脳・心疾患を引き起こすとされています。
ストレス反応を引き起こす要因として、睡眠時間と過労死の間に高い相関関係があることが指摘されています。過労死の死亡率が最も低い睡眠時間が7時間前後とされており、1日の睡眠時間が6時間未満では心疾患のリスクが高まり、5時間未満では脳、心疾患が高リスクに、さらに4時間以下では7時間前後の睡眠をとっている人と比べて、心疾患による死亡率が約2倍になるとのデータが、2004年に公表されています。 そのデータを基準に、健康を損なうことのない睡眠時間を確保するための労働時間を検討し、2004年4月、労働安全衛生法改正に「長時間労働者への<産業医の面接指導>」が義務として盛り込まれたのです。(過重労働対策part1参照) こういった負荷を緩和する要素として、
●社会的支持・支援
●ストレス対処方法 などがあります。
過重労働対策も含め、人事担当者の仕事は多岐に亘っているとともに、一人にかかる量的なストレスも多くなっている印象を受けます。そんな中で、人事担当者にとって社内のサポート資源は何かと考えてみました。
衛生委員会
労働安全衛生法において、常時50名以上の労働者を使用している一定の事業所は、衛生委員会を設けなければなりません。衛生委員会のメンバーは、安全衛生管理者、衛生管理者(保健師、看護師等)、産業医、労働者で衛生に関し経験を有する者の中から事業者が指名した者となっています。そこで話し合われる項目は、 1.労働者の健康障害を防止するための基本となる対策2.労働者の健康の保持増進を図るための基本となる対策
3.労働災害の原因及び再発防止対策(安全衛生に関わるもの)
4.危険性・有害性等の調査等に関すること
5.安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
6.長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
7.労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること *4〜7は「安全衛生管理体制の強化」2004年4月1日改正労働安全衛生法によって追加されました。 委員会の会議は、毎月1回以上開催するようにしなければならないとされています。 安全衛生委員会が有効に機能するためには、参加者の各々の専門性を活用し、個人と組織の両方の生産性向上を目的とした対策をとることを、共通の目標とすることだと考えます。そこに人事担当者の視点が加味されることで、より現実の業務に即した具体的な対策を打ち出していくことができるでしょう。休職者の復職プログラム作成などにおいては有効と考えられます。
人事業務にとって問題解決を複数の視点から検討し、解決に向けて協力体制を組むことが有効です。 次回は「産業医、健康管理スタッフとの連携」についてご紹介させていただきます。
▼ この記事の著者

田中 貴世
シニア産業カウンセラー、日本産業カウンセラー協会認定キャリア・コンサルタント、日本オンラインカウンセリング協会認定オンラインカウンセラー、 家族カウンセラー協会認定家族相談士
子育て相談、保育士人材育成の仕事在職中にカウンセリングを学び資格を取得。転職支援センターのキャリアコンサルタントを経て、現在ピースマインド・イープでカウンセラーを務める。職場のメンタルヘルス、キャリア、家族関係、夫婦問題とカウンセリング分野は幅広い。「カウンセラーは相談者の伴走者」と考え、「出会い」「気付き」の中に生まれるエネルギーに心動かされる日々だという。


