著者:下村 洋一(医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント)
新しいタイプのうつ
うつ病と言えば真面目な社員が自責感・罪悪感が強くなるというイメージで理解されるのが一般的です。ところが最近は、「仕事の時だけうつになる」
「休職中なのに趣味の活動は活発」
「休職中も同僚や上司に迷惑をかけているという認識に乏しく、権利ばかり主張する」
「他罰的で、すぐ会社や上司のせいにする」
「自分はうつ病だと公言することに抵抗を感じない」
などのケースが増えてきています。一筋縄ではいかず対応に苦慮するタイプも少なくありません。職場不適応型の休職は自己中心的な対応に終始するため、職場復帰が遅れる傾向があります。 また、ストレスに常に弱いため、再発することが少なくありません。こうした問題に対応する上で重要なことの一つは、就業規則を見直して休職期間を明確に定めることです。
企業としての対応
職場不適応型うつのメンタルヘルス対策で大事なことは、時間に誠実な会社を作ることです。例えば、私の勤務していた鉄道会社は、ダイヤに従って仕事をするため時間に厳しいところでした。基本的に残業はありません。遅刻が目立ち、中途半端にお休みする社員は、周りが気づき病院に行かなくてはいけない雰囲気がありました。うつ病の社員の方もいらっしゃいましたが、中途半端な就労で苦労することはありませんでした。
一方、裁量労働や深夜労働・過重労働・見なし労働・生活残業・サービス残業は周囲の人が気づかず、労働時間が増えすぎてしまうと不健康な働き方につながってしまいます。中途半端な就労の温床とも言えます。企業は、まず勤怠管理を適切に行い、社員のストレス耐性を高める人材育成を行うことです。
経営者は中途半端にお休みする社員の姿を、鏡に映った、時間に不誠実な自分の姿と考えなくてはいけないかもしれません。
▼ この記事の著者

下村 洋一
医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント
日本大学医学部卒業後、駿河台日本大学病院内科に勤務。東京都がん検診センター消化器科での勤務を経て、銀座菊池病院、京王電鉄診療所と内科医長を歴任。その後、京王電鉄グループ専属産業医となる。1997年には京王百貨店診療所所長を務め、2000年に労働衛生コンサルタント事務所を開業。現在では、大手企業や中小企業の嘱託産業医を多数務める。


