著者:下村 洋一(医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント)
うつ病の疫学
日本では、人口の約3〜5%は一生に一度はうつ病になるといわれています。うつ病は男性よりも女性に多いといわれており、責任感が強く、几帳面で、仕事熱心という性格の人に多いと言われています。
うつ病は、一般的に、治療を行えば、3〜6ヶ月の経過で、徐々に回復していく病気です。しかし、ひとたび発症すると少なくともその50%は再発するといわれています。長期的な視野で、治療を進めてなくてはいけない病気です。
うつ病の原因
うつ病の原因には身体性のものもあります。脳や甲状腺の病気でも、うつ状態になることがよく知られています。また、高血圧症・慢性肝炎・膠原病・胃潰瘍の薬でもうつ状態を引き起こすことがよく知られています。心因性うつ病は、身の回りの不幸や仕事での失敗、人間関係のトラブルといった精神的なショックや心理的な葛藤などによるストレスに起因するものです。最近増加しているうつ病はこのタイプです。 内因性うつ病というのは、こうしたきっかけなしに、純粋に脳の生物学的な原因で起きたうつ病のことです。内因性のうつ病は、通常、特段の事情なしに起こります。時として発症の前に引き金(ストレス)があって、それが内因性のうつ病を誘発することがあります。
心因性うつ病は、内因性うつ病と症状が似ているので、区別し難いと言えます。内因性のうつ病は、おおよそ予測出来る経過をとることが多いのです。薬の反応も大体予想がつきます。心因性うつ病の時は個人個人で反応が違うというような特徴があります。

うつ病発症のきっかけ
うつ病は脳の疲労によって起こります。ビジネスパーソンの場合は、職場環境や仕事の内容が変わり、それらの状況に応じた能力を早く獲得しなくてはいけないというプレッシャーが、脳の大きな負担になります。プライベート面の出来事も引き金になります。悲しいことはもちろん、楽しい時、おめでたい時、ホッとした時にストレスが隠れていることがあります。
▼ この記事の著者

下村 洋一
医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント
日本大学医学部卒業後、駿河台日本大学病院内科に勤務。東京都がん検診センター消化器科での勤務を経て、銀座菊池病院、京王電鉄診療所と内科医長を歴任。その後、京王電鉄グループ専属産業医となる。1997年には京王百貨店診療所所長を務め、2000年に労働衛生コンサルタント事務所を開業。現在では、大手企業や中小企業の嘱託産業医を多数務める。


