著者:下村 洋一(医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント)
さまざまな職場で勤労者の心理的負荷が増大し、うつ病や心身症の増加が目立つようになってきました。重要な業務を任された社員が、健康障害に陥って休業を余儀なくされた場合には、本人だけでなく周囲への影響も大きくなります。メンタルヘルスケアは労災、安全配慮義務、過重労働といった法的問題とも関連する課題でもあり、企業のリスクマネジメントとしての意義は多くの企業でも認知されつつあります。ただ、有効な対策が立てられず、実際にどのように取り組めばよいのかお悩みの企業が多いのが実情ではないかと思います。 ビジネスパーソンのメンタル不調の8割がうつ病と言われています。このコラムでは、うつ病を例に、職場の人事労務担当者がどうメンタルヘルスを進めるかアドバイスします。まず、うつ病とはどんな病気なのか理解することが大事です。
うつの原因と症状

うつ病の症状
うつ病の方は訴えるゆううつという感覚は、抑うつ症状、不安、おっくう(抑制症状)からなる複合的な体験です。何を見ても聞いても、楽しさというものが沸いてこない、ひどくなると辛さすら感じない。なんの感情もおきないと表現する人もいます。うつ病の方の“うつ状態”は、朝起きたときに最も強く、その後、時間が経つにつれて薄れていく傾向があります。当然ながら意欲も全くない。毎日の慣れた仕事とか家事、食事や入浴と基本的な生活への意欲もそがれて仕事だけではなく、日常生活の障害も生じてきます。別にストレスも不幸もないのに、ゆううつになるとこれがうつ患者さんの言うゆううつな気分です。 酷い二日酔いが毎日続くと想像するといいでしょう。

うつ病では不眠がよく現れます。寝付きが悪くなるだけではなく、いつもよりずっと早く目が覚めてしまいます。
うつ病のもう一つの大きな特色は、肉体的な症状も同時に出現することです。一般的に多いのは、倦怠感、頭痛、手足のしびれ、めまい、肩こり、ひどい下痢、便秘などです。
▼ この記事の著者

下村 洋一
医師、日本医師会認定産業医、労働衛生コンサルタント
日本大学医学部卒業後、駿河台日本大学病院内科に勤務。東京都がん検診センター消化器科での勤務を経て、銀座菊池病院、京王電鉄診療所と内科医長を歴任。その後、京王電鉄グループ専属産業医となる。1997年には京王百貨店診療所所長を務め、2000年に労働衛生コンサルタント事務所を開業。現在では、大手企業や中小企業の嘱託産業医を多数務める。


